日本のギャンブル依存症
日本では、ギャンブル(賭博)に関しては原則的に公営のものに限られています。
そんな中で、大きな話題になったのがカジノの解禁についてです。
日本におけるカジノの解禁については、ギャンブル依存症の問題をはじめ、様々な懸念が存在しています。
このページではまず、このギャンブル依存症に対して具体的にどのような対策が行われているのかを、競馬場の例を挙げながら紹介していきたいと思います。
競馬とギャンブル依存症
昨年、いわゆる「カジノ解禁法」が成立したことによってにわかに話題になっているのがギャンブル依存症についてです。
ただ、ギャンブル依存症自体は最近になって生まれたものではなく、ずっと以前から問題視されてきました。
その典型的な例が「競馬」です。
一般的にも日本では「ギャンブル=競馬」というイメージがあり、さらには「競馬狂い」という言葉からも分かる通り、
競馬にはギャンブル依存症を招きやすい要素があるとされています。
また、実際にギャンブル依存症の方の多くが競馬にのめりこんでいるのも事実です。
そうした中で、競馬界としてもギャンブル依存症の対策に取り組んでいます。
ギャンブル依存症に陥らず、健全な範囲で競馬を楽しむためには、自身でも情報の取捨選択をしたり、金銭面でのルールを設定したりといった対策をとることが最も大切です。
負けた金額を取り戻そうとして、勝算も無く色々なレースに手を出すようになるとギャンブル依存症へと近づいてしまいます。
その日に使う金額をあらかじめ設定したり、信頼できる情報だけを参考にできるよう、競馬情報サイトを口コミで比較したりすることが、健全に競馬を楽しむコツと言えるでしょう。
政府のギャンブル依存症対策
つい先日のことなのでご記憶の方も多いと思いますが、政府は4月19日に「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」を閣議決定しました。
この基本計画は、その名前からも分かる通りギャンブル依存症対策を推進されるために策定されたものです。
またこの基本計画が策定された背景には、国内のカジノ解禁が迫る中でギャンブル依存症対策が不十分であるという各方面の批判が影響しているものと考えられます。
対策の対象となるギャンブルは競馬、競輪、オートレース、競艇、パチンコで、主な対策としては以下の3つが実行されることとなっています。
- 各種ギャンブル施設への入場制限
- インターネット投票などのアクセス制限
- 各種ギャンブル施設に設置されているATMの撤去
またこの他にも、ギャンブル依存症患者を支援するための団体によるセンターが24時間対応できる無料の電話相談窓口を設けるなどの対策も併せて行われる予定です。
これらの対策は菅義偉官房長官を本部長としたギャンブル等依存症対策推進本部を中心に行われ、対策の期間は2019年度から2021年度までのの3年間となっています。
また、今回の基本計画の中には
「都道府県は、都道府県ギャンブル等依存症対策推進計画を策定するよう努めなければならない」
という文言も含まれています。
従って、ギャンブル依存症に対する対策は今後、オールジャパンで取り組むべき課題となったと言っても決して間違いではありません。
次々に続く競馬場のATM撤去
「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」によって各施設からのATMの撤去が進められていますが、
実は各地の競馬場においては基本計画が策定される前からATMの撤去が始まっていました。
2018年の時点で既に中央競馬5か所、地方競馬2か所でキャッシングサービス機能の廃止またはATMの撤去が行われ、
さらには場外馬券場でも各地で同様の対策が行われていたのです。
また、「各種ギャンブル施設への入場制限」や「インターネット投票などのアクセス制限」に関しても、競馬会においてはすでに対策が行われてきました。
ですので、今回の基本計画が策定されても、これまでの状況が劇的に変わるということは、少なくとも競馬に関する限りはあり得ないということになります。
ただ、今回の基本計画が閣議決定という形で政府のお墨付きを得たことは、ギャンブル依存症対策を行う上で非常に大きなインパクトを持つことにはなります。
ギャンブル依存症の深刻な現状
一般的にはあまり知られていませんが、日本におけるギャンブル依存症の現状は非常に深刻です。
2017年に発表された日本医療研究開発機構によるギャンブル依存が疑われる者の割合は、全成人の0.8%に及ぶという結果が出ています。
2019年時点で日本の人口は1億2623万人で、この内2000万人がギャンブルのできない未成年ですから、残りの1億623万人の内の84万9840人がギャンブル依存症だということになります。
これだけでも大変な数字なのですが、実はこの数字はあくまでも本人や第三者からの相談などによって依存症の人数を算出したものであるため、
実際にはこの数字よりも多くの方がギャンブル依存症になっていると考えられます。
一説には数百万という数字も推計として出されていますが、そこまで行かなくても100万人以上が依存症になっていることはほぼ間違いないとおもわれます。